中国製EV輸入、制裁関税「見せかけ」 全体の2.0%、UCSDの調査で判明
2024年6月11日
米国が2023年に輸入した電気自動車 (EV) のうち、中国からの輸入額は全体の 2.0%だったことが6月10日までに、カリフォルニア大サンディエゴ校 (UCSD) の調査で分かった。
米国市場に占める中国製EVの存在感は低く、分析した専門家は、米政権の対中制裁関税の強化は「中国に厳しく対応しているように
見せるための政治的な動機によるものだろう」と指摘した。
バイデン政権は5月、中国が過剰生産により、不当に割安な製品を市場に氾濫させることで「他国を犠牲にして成長する戦略を続けている」 と批判し、EVや半導体など重点分野の制裁関税の引き上げを発表。
中国が攻勢をかけるEVは、現行の25%から100%に引き上げ「中国の非競争的な貿易慣行から製造業者を守る」と強調していた。
UCSDのカイル・ハンドリー准教授は、貿易統計などのデータに基づいて、関税の強化対象となる製品の輸入状況や代替先などを
分析するツールを開発。
2023年のEV輸入元シェアはドイツの29.5%が最大で、韓国の23.5%、メキシコの19.9%、日本の11.2%と続いた。
一方、EVなどに欠かせない永久磁石の2023年の輸入元は、中国が全体の80.0%を占めた。
日本4.9%、ドイツ2.9%と続いたが大きな開きがある。
米政権は現行0%の制裁関税を25%とする方針だが、ハンドリー准教授は「日本のシェアが急拡大しなければ、供給網に問題が生じるだろう」とし、2026年の引き上げ時期が先送りされる可能性を指摘した。
EV向けリチウムイオン電池も中国が65.1%を占めた。
半導体製品の中には31.0%に上るものもあった。
(2024年7月1日号掲載)